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アメリカ政治の分裂と民主体制の危機
―― ドナルド・トランプと競争的権威主義

ロバート・ミッキー ミシガン大学准教授(政治学)
スティーブン・レヴィツキー ハーバード大学教授(政治学)
ルキャン・アハマド・ウェイ トロント大学教授(政治学)

Is America Still Safe for Democracy?

Robert Mickey ミシガン大学准教授(政治学)で、Paths Out of Dixie: The Democratization of Authoritarian Enclaves in America's Deep South, 1944-1972の著者。専門はアメリカ政治史
Steven Levitsky ハーバード大学教授(政治学)専門は政党、権威主義、民主化など。
Lucan Ahmad Way トロント大学教授(政治学)。この論文の共著者であるレヴィツキーとの共著にCompetitive Authoritarianism: Hybrid Regimes After the Cold Warがある。

2017年6月号掲載論文

トランプのアメリカがファシズムに陥っていくと考えるのは行き過ぎだが、彼が大統領になったことで、この国が「競争的権威主義」、つまり、有意義な民主的制度は存在するが、政府が反対派の不利になるように国家権力を乱用する政治システムへ変化していく恐れがある。政府機関を政治化すれば、大統領は調査、告訴、刑事責任の対象から逃れられるようになる。政党間の分裂が激しければ、議会の監視委員会が、行政府に対して超党派の集団的な立場をまとめるのも難しい。しかも、政党だけでなく、アメリカの社会、そしてメディアさえもが分裂している。いまや民主党員と共和党員は全く異なるソースのニュースを利用し、その結果、有権者はフェイクニュースを真に受け、政党のスポークスパーソンの言葉をより信じるようになった。現在の環境では、仮に深刻な権力乱用が暴かれても、それを深刻に受け止めるのは民主党支持者だけで、トランプの支持者たちはこれを党派的攻撃として相手にしないだろう。・・・

  • 競争的権威主義への傾斜
  • 民主体制を空洞化させる手段
  • 米民主主義の暗黒史
  • 引き裂かれた国家
  • 政治の分裂
  • 民主主義の運命

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